Saturday, November 11, 2006

ダニエル・ピンク著大前研一訳『ハイコンセプト
読んだ後、なにか不思議な感覚になる本です。どうも読書に対して従来期待しているもの、特に成功本とかビジネス書になんとなく無意識に期待しているものとは違ったものを与えてくれる本です。従来の期待ってもしかしたら、私の左脳が期待していたことかもしれない。何か論理的に納得のゆくものであったり、仮説としてそれらしい論理を感じられて試してみたくなるものだったような気がする。
この本の第一部は私の左脳の期待に応えてくれている。工場労働、単純知識労働は安価を理由にともに先進国から他の国(中国、インドなど)やコンピュータへ移転してしまい、先進国にいる人間はそれでも価値ある仕事を見つけ出さんといかん。外国でもコンピュータでもできない本質的な満足を与える仕事は右脳でこそ実現できると。納得。
第2部は右脳を鍛えて先進国でのこれからの収入の道を開く「六つの感性(センス)」を説明している。
1.「機能」だけでなく「デザイン
2.「議論」よりは「物語
3.「個別」よりも「全体の調和(シンフォニー)
4.「論理」でなく「共感
5.「まじめ」だけでなく「遊び心
6.「モノ」より「生きがい
「物語」のところでは、アメリカの医学生が患者から症状に関する「物語」を聴き取り治療に役立てる方法を学んでいるとの逸話が紹介されている。臓器別の知識では治せない、見誤ってしまうことをアメリカでは気付いているし、それを教育の中に取り入れている。日本は?
「生きがい」のところには迷路の話が登場する。なんで?迷路を歩むと鎮静効果があり、右脳を解放するそうだ。迷路を進むことに左脳が働いていて、その間右脳は自由に機能するってことらしい。コーチングのセッションでミラーリングするのも、右脳の働きを高める為か?!納得。
この本は左脳の働きを否定しているんじゃなく、右脳の働きを見直そうよと問いかけている。左脳に偏重した期待を、右脳にも取り返し、右脳主導左脳支援のスタイルが良いのではと主張している。
そして右脳を鍛えるいろんな方法が紹介されている。いわゆるガイドブックみたいになっている。そう、美大や演劇学部への進学を考えている学生向きのような内容だが、大人向けなんだ。面白いと思う。一読、二読、三読して、自分は6つの内どのセンスをどう鍛えるか決めたらいい。私のとっかかりは「共感」と「物語」と思っている。

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