Monday, July 24, 2006

川西茂著『本当に成功できる7つの行動
著者のサインがある本を借りて読むのははじめての経験だった。

喫茶店で携帯メールを2件送りつつ約2時間半で読み終えた。








このところの読書(主に「成功の9ステップ」と「フランクル心理学入門」)、コーチングの学びと自分の経験から、すごく素直に受け取れる内容だし、普遍性が高いと思う。
7つの行動の具体例が著者の電力会社を退職して、「感動を与えたくて」起業し、「7つの習慣」を翻訳し、セミナーの講師となり日本中に展開していった一連の話なのが、非常に記述をシンプルにして読みやすくしている。110ページしかないんだから。
残念なのはこの本の帯。特に裏側。「・・・年収1000万円もらえる安定企業を辞め、起業した。数年後、ボクの会社は年商20億円になっていた。」と、成功=金と誤解を与えかねない表現になっている。著者の言っている成功は金では無いんだけど、・・・。金は付いてくる存在だと著者も言ってる。販売上、この文句にすれば書店で手にとる人が多いのかな?

Buckminster Fuller著、芹沢高志訳『宇宙船地球号操縦マニュアル
これって歴史的名著かもしれない。原著は1969年、著者が71歳の時に発行され、もう37年前の本だが、一部を除いて現在にも十分通用する内容だと思う(”一部”とはコンピュータのことをかいかぶっているかと思われるところ)。
私のお気に入りの箇所は「今は専門家ばかりになり包括的にとらえることをしなくなっている」との指摘。しかも人間ってもともとは「包括的な存在」だってことと、自然の理に適った人間としての活動をすべきだってところです。
アンイシュタインの相対性理論を発展させて、物理的ことと超物理的なことを包括的に捉えて定義してしまったこと。
こう書くと非常に難しい本と勘違いされるかもしれない。でも、論の展開は分りやすい比喩のおかげか、平易でわかりやすい文章だ。でもでも、本当のところ十分理解しているとは思っていない。読み始めてから今日まで20日も掛かってしまった。最近のさっと読めるビジネス書とはえらい違いだ。
この本に行き着いたのは『宇宙エコロジー―バックミンスター・フラーの直観と美 』があまりに理解できず、その源を辿ってみたくなったからです。非常に興味深い世界に誘ってくれた梶川さんに感謝。
これからも何度も読み返して、100%の理解に近づけたい。

Wednesday, July 12, 2006

村上龍&伊藤穣一著『「個」を見つめるダイアローグ
今の世の中を理解する上で、村上氏と伊藤氏の視点が非常に参考になる。インターネットを支えているが陽のあたらないところにいるルートサーバの管理人のハピネスを取上げたり、パラダイムの変化への対応/追従が遅れる人間社会だとか、狩猟時代を超えるハピネスが今あるのかとか、いろいろ考えさせられる。
既存のパラダイムという色眼鏡を外して、世の中を見る力(ちから)を付けたいし、インターネットで平等に個人と個人が繋がる特性を活かして、世界に役立つことをしたくなった。
また、この本は村上氏の作品に流れている思想/薀蓄を知ることができる。他の作品が縦糸なら、この本は横糸って感じ。
何か、欠乏感がある人にはお薦めの本。

Monday, July 10, 2006

中村文昭著『お金でなく人のご縁ででっかく生きろ!②[出会い編]
書店の棚で出くわし奇妙な本だと思った通りだが、不思議な本でもある。このところ心理学の本や、ビジネス書を読んでいると、様々なことを「一般化」」しようと努力しているのが分るし、整理された良さがある。しかし、この本はひとつひとつの出会いがそのまま本になっている。しかも泣かされる。著者の思いが文面から伝わってくる妙な本。
人との出会いが楽しみになる本です。

Tuesday, July 04, 2006

斎藤茂太著『「ゆっくり力」ですべてがうまくいく
はじめの100頁ほどはこの本を選んだのを後悔した。些細なことばかり書いてあるし、なにか統一した考えが読み取れなかった。読んだ後は売ろうかとまで思っていた。
しかし、茂太節に次第に感化されたのか、独特の自己開示に乗せられてしまったのか、はたまたポイントを押さえた巧みさなのか気に入った。最初のピークは次のところ。
 ・ゆっくり歩く (p.108)
 ・夜眠る三時間前からは、仕事や、わずらわしいことを考えるのは
  一切やめにして、ゆっくりと寛いだ気分でいるのがいい。 (p.110)
 ・よく噛んで、ゆっくりご飯を食べる (p.112)
 ・ひとりの時間をつくれ (p.114)
夜眠る三時間前から寛(くつろ)いでいるのは、想像できない世界だが、今90歳の著者の言葉だから重く受け取りたい。もしこんな風に寛げれば最高だと思う。
この後も、見開き2頁単位の"お話"スタイルを崩さず(章の末尾だけ2頁半になる)、なんとなく話を盛り上げてゆく。巧い。

Monday, July 03, 2006

諸富祥彦著『フランクル心理学入門―どんな時も人生には意味がある

大袈裟に言えば「現代日本の病理」を解き明かす本だと思う。しかもフランクル氏の理論の骨格が戦前に完成していて、諸富氏が日本向け解説書を書いた1997年から9年経っているがその内容はそのまま今に通用する普遍性を持っている。
この心理学が対象するのは「心のむなしさを抱く一般の人々であり神経症者」(p.327)であり、「人生の意味」を知りたいホント普通の人々にとって一つの指針を与える。『人生が人間に問いを発している』と言う。超越的自己が人生の意味を知っており、それが投げかける問いに無心に取組んでいるうちに結果として幸福が与えられると言う。超越的自己は神であるかもしれないし、別物でも良い。「人間は生きる目的を知らない時、それだけ生活のテンポを速めるしかない」(p.80)と言い現代のドッグイヤーを戒めている。
著者は超越的自己をトランスパーソナルに求めている(p.323)。それも一理。
フランクル心理学も仮説でしかない。でも、その仮説で幸せになることができれば、あり難いことだ。
たぶん今時点の私の理解は20%~30%程度なんだろうと思う。もう2回ぐらい読めば60%ぐらいは理解できるだろうか。楽しみだ。